第一制電機株式会社様Case study

第一制電機株式会社様
  • JSIA会員
  • 制御盤/受配電盤メーカー

図面品質の向上と設計業務の効率化でリードタイム削減

第一制電機株式会社は1968年の創業以来、各種プラント電気設備の制御を中心に企業基盤を確立しています。上水道プラントの制御よりスタートし、鉄鋼、産業機械、さらに工作機械、飼料、焼却炉と常に新しい分野に挑戦しています。またコンピュータ部門にも力を注ぎ、データロガー装置やDCS(Digital Control System)の開発や、ホスト/クライアント間のデータ通信やCAD/CAM連携を推進。さらに広範な産業フィールドへの貢献を深耕しています。電気計装部門では西日本全域において施工とメンテナンスを行える総合電気計装プラントメーカーとしてお客様の信頼を得ています。(2015年9月取材)
代表取締役 青柳祐二様
設計課マネージャー 山口紳市様
設計課 橋本あい様

手作業によるケアレスミスの克服を模索

当社では、部品表や配置図といった手配・製造データの作成や回路図のチェックにおける目視での確認など、“人の手”を介して実施している工程がありました。このような作業ではデータの入力ミスやチェック漏れなど、単純なミスがどうしても発生していました。これらのミスは調達部門や製造部門の業務まで工程が進んでから発覚することも多く、部品の誤調達や加工指示の間違いによる製造ロスの増加、手戻りによる工数の増加など、コストの増加や納期遅延のリスクにも繋がってしまいます。そのため当社ではデータや図面のチェックに多大な時間を費やしていました。

ツールによる手作業の自動化・機械化を検討

自動機械を提供している会社として、社内業務においても自動化を推進していきたいという社長の考えもあり、課題の解決につながる自動化機能を有したソリューションを検討することになりました。手配・製造データの作成に際して人の手を介さず自動的に作成、集計できることや、チェックに関しても単純なミスについては機械的に自動検出してミスを減らせることを条件に、電気設計CADの再検討を実施することにしました。

「ECAD DCX」を採用

いくつかの電気設計CADを検討する中で、ECAD DCXが候補にあがりました。ECAD DCXは、データベースを利用した電気設計CADで、データベースで一元管理された部品情報をもとに、回路図や手配・製造データを作成できます。さらに情報を更新した際は関連する項目に連動して反映されるため、データの誤入力や転記漏れといった単純なミスがなくなります。このため、これまで時間のかかっていた手配・製造データの作成、更新のための工数を大幅に短縮できることも、メリットとして評価の対象となりました。また、回路設計においてもデータベースを参照しながら設計できるため、単純な作図ミスを素早く検知でき、正確な図面を短時間で作成できるようになると判断しました。ECAD DCXは、これまで使用してきたECADシリーズと変わらない操作性と使いやすさに加え、データベースによる設計情報の管理・自動化の機能が他社の1歩先を行っていたことなどを高く評価し、ECAD DCXを採用することにしました。

導入後に感じた4つの効果

ECAD DCXの導入後、以下のような効果を実感しています。
  • ・図面品質が向上
  • ・検図工数が半減
  • ・作業時間の手配・製造データの作成工数が激減
  • ・手戻りと製造ロスを削減

図面品質が向上

設計情報のチェックが自動で行われ、エラーがあればリアルタイムに通知されるため、瞬時に作図のミスを把握し、修正することができるようになりました。設計中に間違いを確実に潰せるため、最終的な図面品質の向上につながっています。回路設計後にエラー箇所を探して修正するという作業も、この機能により軽減することができました。結果として、電気的な仕様や回路そのものに焦点を当てて確認することができ、限られた時間の中でも設計品質の向上に集中して取り組むことができるようになりました。

検図工数が半減

ECAD DCXではデータベースで一元管理されている部品情報をもとに、回路図や手配・製造データを作成するため、図面とデータの情報の相違が発生しません。そのため、検図工程にて回路図と手配・製造データを目視で比較し、情報の相違がないかを確認する必要が無くなり、情報の整合性チェックの時間を半分以下に減らすことができました。設計業務の多くを占めていた検図工程の作業時間が大幅に削減されたことで、生産効率を飛躍的に向上させることができました。

作業時間の手配・製造データの作成工数が激減

“人の手”を介して行っていた手配・製造データの作成作業が自動化されたことで、部品表の機器番号が1文字違う、回路にある部品が配置図にはない、あるいは部品リストにない、などの単純なミスが起こらなくなり、正確な手配・製造データを作成できるようになりました。さらに1案件につき1人日かかっていた手配・製造データの作成工数を、ほぼゼロにすることができました。

手戻りと製造ロスを削減

正確な図面や手配・製造データの提供が実現したことで、部品の誤発注や製造からの手戻りが減少しました。部品の指示ミスは製造ロスに直結しやすく、また再手配によるリードタイムの延長が納期に影響を与えるリスクがあったため、調達部門へ正確な情報を提供できるようになったことは大きなメリットとなっています。

さらなるリードタイムの短縮へ

ECAD DCX導入により、データベースへの部品情報の追加という管理業務は新たに必要になりましたが、それ以上のメリットがもたらされていると感じています。また、今回の導入を社内業務改善の良い機会と捉え、自社内で使用する部品の品種を絞るということにも取り組んでいます。部品を統一することで発注リスクの削減にもつながっていると考えています。 その他の取り組みとしては製造連携の強化、特に配線測長に取り組んでいきたいと考えています。CAD上で測長した配線データを利用して事前に電線を準備することで配線加工工程を前倒しし、同時に事前にルートまで検討できます。組み付け工程の単純化が実現でき、リードタイムの短縮と安定した製品供給体制が構築できると期待しています。