株式会社明電様Case study

株式会社明電様
  • 制御盤/筐体メーカー

図面の矛盾解消と部品表の自動作成により設計工数を約50%削減

1975年の創業以来、株式会社明電は広島県福山市に本社を構え、精密板金加工から塗装、組立までを一貫対応できる体制を強みとして発展してきました。加えて、自動制御盤の設計・製作も手がけており、設計部門と製造部門が密に連携することで、短納期かつ高品質な製品の提供が可能です。創業以来積み重ねてきた技術と対応力を礎に、納品後のアフターフォローまでを大切にし、お客様の事業に貢献する「モノづくり」メーカーとして、品質向上のため継続的な改善に努めています。

検図と部品表作成工数の課題からECAD DCXへの移行を検討

ECAD DCXを導入する前は、ECAD dioを使って設計をしていたのですが、当時は図面の不整合が課題でした。回路図、外形図、そして部品表の間で矛盾が生じることが多く、毎回、設計後の検図作業に多くの時間を割かなければいけませんでした。また、変更した後にも再度検図が必要で、大きな案件になると1日以上かかることも珍しくありませんでした。

また、部品表の作成もすべて手作業でしたので、回路図を見ながら一つひとつ部品を拾い出して転記する必要があり、ミスがないか慎重に確認していく作業は、とても神経を使いましたし、作成に丸1日かかることもありました。作業としては非常に重要ですが、正直「もっと設計本来の業務に時間を使いたい」と感じていたのが本音でした。

そこで、図面の矛盾を無くし、図面から部品情報を抽出して部品表を自動作成できる体制にするため、ECAD dioからECAD DCXへの移行を決めました。

 

ヒューマンエラー防止にECAD DCXが貢献

人的ミスはどうしてもゼロにはできません。だからこそ、システム側で事前にチェックできるような環境をつくりたいと思ったのも、ECAD DCXの導入を決めた理由の一つです。ECAD DCXではリアルタイムでエラー通知を行ってくれる機能があり、設計中に問題点をすぐに指摘してくれるので、その都度エラーをチェックして設計段階で修正できるようになっています。

また、使用する部品の回路シンボルや外形シンボルを部品マスターに登録しておき、それを図面に配置することで、回路図と外形図の矛盾が無くなりました。この部品マスターの構築にあたっては、部品点数も多いため、まず基本的な部分は最初の1~2カ月で準備して実稼働し、あとは設計と合わせて実運用の中で部品をその都度追加してデータを整備していき、1年ほどで現在の体制が完成しました。設計ルールや部品の扱いに関しても、この運用期間でノウハウが蓄積され、より実践的な形にブラッシュアップできたと感じています。

以前は、設計者とは別に検図要員を配置して検図を行っていたのですが、こうした機能により、ヒューマンエラーを防ぐことができ、手作業で細かく検図を行う必要がなくなったことで、専任の検図要員が不要になりました。検図時間はほぼゼロとなり、スピードも断然違います。

設計する際は、既存の図面をもとに変更を加えていく場合がほとんどなのですが、ECAD DCXでは、変更内容が関連する回路図や外形図、部品表などにも反映されるため、矛盾の無い設計をスピーディーに行うことができます。いかに図面を簡単に変更できるかが利益の向上につながると思いますし、以前にも増してお客様のご要望に柔軟に対応できるようになったのも大きな変化です。

電機グループ グループ長
細谷 計 様

電機グループ 課長
細川 将太 様

丸1日かかっていた部品表作成も今ではボタンひとつで完了

これまで手作業だった部品表作成も、ECAD DCXでは部品の情報が図面と連動しているため、図面が完成すればそのまま部品表を自動作成できます。所要時間は、ほんの数秒程度。これまで1日かかっていた作業が一瞬で終わってしまうことに、はじめは驚きました。部品点数の記載ミスもなくなり、CSVで出力した部品表を見積書にインポートすることで、経理上のミスも防ぐことができるようになりました。

これらの機能の活用により、ECAD DCX導入以前よりも、設計業務にかかる工数は50%ほど削減されたように感じています。

ECAD-キャビスタ連携の活用で納期とコストの最適化

自社で板金も行っているのですが、電機グループで設計している制御盤の約90%で日東工業のキャビスタを利用し、穴加工済みキャビネットの調達をしています。

ECAD DCXはキャビスタと連携できるので、設計していく中でサイズの合うキャビネットを選んで図面に配置し、作成した穴加工図は、そのままキャビスタにアップロードして手配に進むことができます。以前は、筐体の図面を描いた後に、もう一つ板金図を描く必要がありましたが、この連携機能を使ってキャビネットを調達することで、板金図作成にかかっていた工数の削減と、自社の板金部門における生産の調整ができ、納期とコストの最適化につながっています。

設計図面の描き方が標準化され、誰が設計しても同じ品質に

ECAD DCX導入前は、設計者ごとに図面の描き方に差が出ることが多く、仕上がりの品質にバラつきがありました。これも、後工程に影響を及ぼす原因の一つでした。

ECAD DCXには回路のパターン登録の機能があるため、頻繁に使う構成をテンプレートとして登録しておくことができます。そのおかげで、属人化していた設計業務が標準化され、誰が設計しても一定の品質で図面を仕上げることが可能になりました。

このパターン化により設計業務のハードルが下がり、新しく入られる方でも、登録されたパターンを利用しながら必要な知識を覚えていけば、よりスムーズに設計を行うことができるのではないかと思っています。

移行時のハードルは、サポートセンターの支援でクリアに

ECAD dioからECAD DCXへの移行を機に、部品マスターの構築をしたり、帳票の自動作成のための初期設定をする際、「こういうことを実現したいのですが、どうすればいいですか?」というように、サポートセンターにあらゆる質問をしました。

サポートセンターに相談すれば、すぐに具体的なアドバイスをいただけますし、過去に質問した内容も履歴で把握していただいているので、とてもやり取りがしやすく、大きな問題も起こらずに移行することができました。また、当社独自の運用フローに合わせ柔軟にサポートしていただき、「現場で本当に使える形」を一緒につくっていく姿勢が非常に安心できました。

お客様からの信頼性も向上

ECAD DCXを導入してから、私たちの設計業務は本当に大きく変わりました。作業スピードが明らかに向上し、空いた時間をアフターフォローやその他の業務に使えるようになりました。設計者として本来やるべきことに集中できる環境が整ったと思います。また、設計の正確性も大きく改善され、お客様からの信頼にもつながっていると感じます。

最初は不安もありましたが、今では「導入して本当によかった」と心から思っています。一歩踏み出してみる価値は十分にあります。

今後、3DやAIによる設計支援機能が搭載されたり、新たな機能の提供が始まったりすれば、さらに活用の幅が広がるのではと期待しています。

スピードと正確さアップにより
お客様からの信頼性も向上