昭和23年(1948)創業の大森機械工業株式会社(以下、大森機械工業)は包装機業界のリーディングカンパニーです。お客様のご要望に合わせたオーダーメイドの包装機械を設計・製造し、食品や医薬品など身近な製品の「包装」を支えています。 1955年、日本初となる魚肉ソーセージ用の全自動充填結紮機を開発して以来、安定成長を続ける包装業界をメインターゲットに包装の可能性を追求しています。今日では、日本の包装システムメーカーとして、さらなる革新、会社力向上、グローバル展開、持続的発展により、世界のトップ10入りを目指しています。(2014年10月取材)
ECAD dio導入までの経緯
ECAD dio HARNESS+(配線測長機能)に期待
選定に際しては電気設計CADだけではなく、現状の電気設計の課題解決についても同時に検討が行われました。ECAD dioは使いやすい事、登録した部品を自動配置できる利点などが高く評価されました。また、「10年後も使えるシステム」を目標にシステム検討が行われた結果、下記の課題解決が求められました。
課題1
どの設計者でも同じ品質・同じ時間で設計ができるようにする
課題2
個人管理、紙管理になっていた図番管理をデータで行い、共有化、ペーパーレス化する
課題3
図番管理及びコスト管理をするため基幹システムと連携する
これらの要求を満たす事ができる当社の提案が評価され、ECAD dio 20ライセンスと導入支援サービス及びプログラム開発支援をご採用いただきました。
ECAD dio導入後の成果
導入プロジェクトは大森機械工業、日本IBM、当社の3社協力のもと行われ、
- 1. 設計の標準化で図面の描き方を全社統一
- 2. 独自の「設計手順書」作成と社内展開
- 3. 設計から調達まで一貫したシステム化
- 4. 作業時間の短縮
- 5. 電気設計のコスト管理
これらを実現する事ができました。
①設計の標準化で図面の描き方を全社統一
従来は3つある事業部が別々に電気設計を行っており、それぞれの事業部で図面の描き方が異なっていました。また、全ての図面を描いていたため入力ミスなども発生し、設計の工数増加の要因になっていました。
この課題を解決するため、データでの図番管理を行って共有化し、標準図とモジュールを組み合わせることを基本とした設計手法の標準化を行いました。その結果、事業部の垣根を超えて図面の描き方を全社統一でき、さらに若手もベテラン設計者も同じ品質の図面を作成でき、工数を減らすことができるようになりました。
②独自の「設計手順書」作成と社内展開
設計の標準化実現のためもう1つ取り組んだことがあります。それは設計手順書の作成です。当社が導入支援サービスで作成した「設計手順書」の雛形を基に、大森機械工業が独自の電気設計のノウハウを盛り込んで作られました。この「設計手順書」は単なる操作マニュアルではなく、設計シーン毎に遵守されるべき設計ルールが明記され、その設計ルールを具体的な手順として記述した構成になっています。
この手順書の設計者への展開は、当社による教育を受けたECAD dioのスペシャリストの手によって行われています。
③設計から調達まで一貫したシステム化
図面から抽出した図面管理情報や部品情報を、基幹システムであるIBM® Power Systems™へ自動登録を行い、購買帳票の自動作成といった一連の作業を自動化することで、設計から調達までを一貫したプロセスとしてシステム化することができました。 また、大森機械工業が機械設計データの管理用に独自開発した管理システム「Model Manager」をベースに電気設計の管理機能を追加・改修した「E-CAD Manager」が今回開発されました。「E-CAD Manager」とECAD dioを連携させるプログラムにより、設計した図面の検図、承認といったプロセスについてもペーパーレスを実現しています。 これらを実現する追加機能のプログラム開発には「ECAD dio COM-API」というECAD dioに標準搭載されているプログラム作成を支援するインターフェースの利用が不可欠でした。今回のプロジェクトでもこれを使った数々のプログラムが当社だけでなく、大森機械工業でも開発され、自動化・標準化に貢献しています。
④作業時間の短縮
従来手動でExcelシートに作成していた自社フォーマットのブロック表をECAD dioの部品表の情報から自動的に作成させる仕組みに変えて改善を行いました。また、部品の配置についてはこれまで部品一個一個の大きさを調べて反映していたものが、ECAD dioによって部品登録のデータからそのまま部品配置に結びつく形になりました。これらの改善効果により一般的な図面作成作業において、おおよそ20%の時間短縮を実現しています。
⑤電気設計のコスト管理
電気設計のコスト管理を実現するということも今回の大きなテーマのひとつでした。会社で統一された部品情報データベースを構築し、使用する部品を統一することで部品管理ができ、コスト低減も期待できます。また基幹システムであるIBM Power Systemsによって受注管理、図番管理、使用部品の管理等が行われ、電気設計についてコストの管理が可能になりました。
今後の展望
今後も標準化促進、コスト見直しなどを行っていきたい
「現在標準化されたシステムで運用しているのは大森機械工業で製造している全機種のうち3割くらいというところです。今期中に全機種に展開することで、標準化の促進、コストの見直し、出先での情報共有など様々なことができるようになるよう進行中です。」移行プロジェクトの総責任者で大森機械工業株式会社 常務執行役員 齋藤取締役は今後の展望について話されました。
当社は今回実行したプロジェクトと同様にECAD dioの販売だけでなく、お客様の課題を解決するためのさまざまなプログラム開発や導入支援、導入後のサポートを含めたソリューションの提供に今後も注力してまいります。