株式会社タカシマエンジニアリングは、山形を中心に事業を営む髙島電機株式会社(1927年創業)の製造部門が分社化する形で2013年に立ち上げられ、「電材」「FA」「製造」を柱とするグループの一翼を担っています。高低圧配電盤・自動制御盤・キュービクル設計及び製造、販売を手がけ、山形県下はもとより全国各地のお客様との取引実績を有します。地元からの評価も高く、この地域を支える重要なモノづくり拠点です。
「キャビスタ連携」が導入を後押し
当社ではECAD DCXを2019年に導入し、過去に納品した設備の増設・改修など既存の図面を使うケースを除き、新規図面の作成はECAD DCXへの移行がほぼ完了しています。また、キャビスタ連携の活用などで、後工程でもECAD DCXが現場を牽引しています。
従来はAutoCADを使用していましたが、WindowsのバージョンアップによりCADソフトの更新が必要になりました。その際、年ごとに費用が発生するAutoCADのサブスクリプションのコストが、新しいCADを導入するきっかけの一つになりました。その中で、ECAD DCXの導入を後押ししたのはECAD シリーズに搭載されている日東工業キャビスタとの連携機能です。当社はグループ会社の髙島電機と共に日東工業との取引も多く、日東工業の担当者から薦められたことも大きな要因でした。
日東工業の穴加工図面作成Webシステム「キャビスタ」は、日東工業の標準キャビネットへの機器取付け用の穴加工をWeb上で指示し、そのまま手配できるシステムです。キャビスタを活用すると、キャビネット選定から穴加工図作成・見積り・納期目安の確認もできるため、間に人が何人も入ることで起こるミスや時間のロスがなくなるなど、様々なメリットがあります。
以前は、AutoCADで作成した穴加工図を基にキャビスタで発注用穴加工図を再度作成する「二度描き」の手間や、キャビスタ上での手直しなどが発生していました。ECAD DCXでは、表示灯やメーターといった機器の取付け穴のデータを外形図シンボルに登録しておけば、簡単に穴加工図が作成でき、キャビスタ連携により、作成した図面はそのままキャビスタへアップロードできるので、設計側の工数削減と、発注までの時間短縮ができています。
設計後のフローを改善するデータ連携とノウハウの資産化
AutoCADと比較して、図面から部品表を出力できるのも大きな利点です。CSVで出力し資材部門に渡すことで、部品や数量の入力間違いがなくなり、誤発注を大幅に軽減できています。また、チューブマーカーへの印字データの入力作業も、以前は手で打っていたものが、データを出力して取り込めるので、工数が削減されました。こうしたデータ連携によって、「設計の後の工程」がスムーズになり、全体の負担は減っていると感じます。
当社では設計担当者が通常業務の合間を縫って部品マスタを構築してきました。予め部品を登録することで更なるミスと工数の削減ができますし、今後新入社員や組立など他部署の人間も、設計業務に携われるようになると思います。ECAD DCXに蓄積されたマスタ情報は、自社の資産であり知見の塊となります。現在立ち上げの中心となっている者も、自分たちが積み上げたものが社内に残ること、後の人に役立つことを見据えて頑張れています。
ちょうど当社がECAD DCXを導入した直後にコロナ禍に突入してしまったこともあり、通常業務にも負荷がかかる状況が続いています。一方、現場ではECAD DCXを通じたノウハウの共通化・標準化が進んでおり、これから更に大きなメリットが出てくると考えています。
導入をスムーズに進めるコツは「ゴール設定」
部品マスタの構築は、導入企業にとってハードルではないでしょうか。ただ、振り返ってみると、「自社がどういう部品やモノを使うか」、「どこまで部品の情報を登録するか」といった基本的な方向性を決めて導入を進めることが、スムーズな立ち上げのコツだと思います。
この業界では各人が“マイ設計ルール”のもと日々の業務をこなしていると思います。そのルールを会社ルールに変えることが必要です。皆で意見を出し合って、「最低限これは登録しよう」といった決まりを作成することが当社では役に立ちました。コミュニケーションを積極的に図り、ルール決めをする。そのもとで運用を進めるとブレがなくなり、スムーズな移行が可能となると思います。
その結果、個人に依存していた図面の描き方が共通化され、より図面らしい図面になったとでも言いましょうか、ECAD DCXの図面はとてもきれいで見やすいです。細かな所ではありますがこうした部分にも専用CADの魅力を感じます。そのうえ、コミュニケーションを取ることで、CADの力だけでなく、皆が同じように良い図面が描けるようになりました。
モノ不足が深刻な今、ECADが活きている
現在(2022年10月)モノ不足が深刻で、通常とは別の部品で代替することも増えています。当初の想定より登録する部品が増え、新たな手間が発生しているのも事実です。
ただ、ECAD DCXならではの利点もあります。部品の変更が生じた場合、AutoCADでは関連する複数の図記号や部品表など、全ての箇所を一つずつ修正する必要があります。しかし、ECAD DCXは変更が一括で自動反映されるため、手間とミスの削減が図れています。
調達・仕入れが安定しない状況が続くなか、専用CADの力を借り、より人の負荷を減らしつつ、お客様に良いものを提供し続けていきたいと考えています。
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