国内大手半導体製造装置メーカーのA社様では、2009年にECAD dio を導入し、設計業務での活用を開始。結線のチェックなど、それまで手動で行なっていた作業をECAD dioで自動化し、大幅な効率化を実現しました。現在は、装置内部の電気図面はほぼECAD dioで設計し、最新バージョンで実装されたハーネス設計の評価も進めています。(2011年2月取材)
導入に至るまでの経緯
ECAD dioの自動チェック機能に期待
以前は機構系のCADで設計していましたので、複数図面にまたがる回路の結線などは100%人手でチェックし、非常に手間がかかっていました。現場の技術者からも「何とかならないか」という声が頻繁に聞かれるようになりました。そこで、電気系の専用CADに切り替えれば、チェックはCADが行なってくれるようになるだろうということで、導入の検討を開始しました。結果的には、ライブラリのメンテナンスなど多少の作業は必要でしたが、メンテナンスを行なえばかなりの効果が期待できるとの判断でECAD dioの導入が決まりました。
ECAD dioの特長
自動化の強みと処理能力の速さが選定の決め手
スムーズに評価できるよう、評価前に基本トレーニングを実施して頂き、10数名の設計者が受講しました。その後、評価検討に入りました。
自動化による運用の強みもさることながら、ECAD dioの処理能力の速さも際立っていた点が選定の決め手になりました。特にシステムの起動時間やページ間のレスポンスについては、他社のシステムに比べてかなりの差がありました。
導入後の運用状況
ライブラリの充実により装置内部の電気回路は全般的にECAD dioで設計
設計業務では管理が必要な項目、要素が多いので、それに関するデータがある程度準備できないと自動化を推進することができません。しかし、半導体装置の分野は規格品が多く、次々と新しい部品が出てくるわけではないので、一度整備してしまえば後はそれらを利用するだけになります。
ECAD dioの導入前は、部品のピン1本1本について、どの装置で使われているのか全部手で確認していましたが、現在は部品さえ配置してしまえば、あとはECAD dioが自動で計算してくれるため、半導体製造装置の内部的な電気回路は全般的にECAD dioで設計しています。
基幹システムとの連携
基幹システムから部品データを日次でインポートし、さらなる効率化と広範囲の導入を目指す
基幹システムのデータを日次でECAD dioの部品ライブラリにインポートする機能が立ち上がりました。これにより、設計者が部品を登録して基幹システムにつなげると、翌朝には自動的にECAD dioの部品として利用できるようになりました。
引き続き、作業に関わるテンプレートを少しずつ増やして、オペレーションをより簡素化できるよう取り組んでいます。この取り組みが軌道に乗ると、同じデータを他の部署でも使えるようになります。しかし、他の部署ではテンプレートの一部が異なるため別途用意する必要があり、今後の課題となっています。この課題を解決すれば広範囲にわたってECAD dioを扱えるようになります。ハーネス設計機能が導入拡大の良い機会になると期待しています。
サポートとトレーニングについて
サポートと教育に関してはまったく申し分ないレベル
ECAD dioのサポートと教育は、まったく申し分ないレベルです。フリーダイヤルですぐに疑問を解決でき、非常に手厚いサポートをして頂いて満足しています。今後、ECAD dioの利用者が増えてきた時に、多くの技術者から直接お問合せする形になり、同じ質問をするケースもあるかと思いますが、我々のほうも情報を共有する努力はしないといけませんね。
これからの展望
ハーネス機能をはじめとして装置系のソリューション充実に期待
ハーネス機能をはじめとした装置系のソリューションに期待しています。新バージョンのハーネス機能は当社のために開発されたと言えるほどマッチしており、装置間の接続図も効率よく書けると、さらに設計効率はアップすると思います。
現在はハーネス図面もECAD dioの既存機能で設計していますが、HARNESS+の新機能を活用した運用に向けて準備を進めています。