「設計・運用効率」「設計品質」向上 ECAD® 2022の新機能とは?【上】

ECAD®シリーズ(ECAD DCX(以下DCX)とECAD dio(以下dio))の最新バージョン「ECAD 2022」が今春リリースされました。今回は新機能の中から特に有用な機能をピックアップしてご紹介いたします。(【上】では「ECADシリーズ共通の機能」について、【下】では「ECAD DCX 」について取り上げます)。

 

 

■「ECAD 2022」の主な特徴

製造や調達業務なども含めた、業務全体の効率化を可能にする機能を強化しました。具体的には以下の3点です。

・リアルタイム処理のパフォーマンスの大幅な向上

・図面の標準化からの流用設計をより効率的に実施できる機能の強化

・ライセンス形態の柔軟性を向上させ、より効率的なソフトウェアの利用を実現

 

【シリーズ共通 新機能1】柔軟なライセンス管理で、運用効率も向上

1台のライセンスサーバでECADの異なる製品及びエディションのライセンスを同時管理できるようになりました(ソフトウェアプロテクト方式でライセンスが提供される場合)。

つまり、「利用したい製品を起動するだけ」でライセンスが自動的に切り替わり、利用が可能になったということです。

これにより、サーバなどのリソースをより効率的に利用できるようになりました。

 

 

DCXとdioは異なる製品です。そのため、ネットワークライセンスで使用する場合、ライセンスを管理するサーバを分けるか、すべてのライセンスをDCXに移行する必要がありました。

また、DCXではStandard/ProfessionalとPremiumは異なるライセンス管理でした。

つまり、「参照に行くライセンスサーバを設定」→「利用したい製品を実行」の手順が必要だったということです。

「ECAD2022」では、異なるエディションが混在している場合、優先して利用するエディションをあらかじめ選択して利用することもできます。作業者の業務に応じて必要なエディションのライセンスを優先して取得できるようになりました。

 

【シリーズ共通 新機能2】図形の重なり検出コマンドを追加

意図しない「図形の重なり」を検出するコマンドが追加されました。

原点が重なるシンボルや文字、同一図形で同一座標を持つもの、平行な直線などで一部が重なるものなどを自動で検出。検出された図面の場所にジャンプでき、検出結果を修正すべきか容易に判断することができます。

 

 

図形の重なりは設計作業中、意図せず発生する場合があります。通常は印刷結果に影響がない場合が多いため、これまで特に手当てされることなく図面に残されてきました。

しかし「シンボル」が意図せず重なった場合などは、部品情報の抽出や接続認識(FromTo作成)などに影響を及ぼす場合があります。

その結果、将来製造連携等を計画する場合、問題となるケースも発生します。

何よりも図形の要素が増えるため、図面サイズが大きくなってしまうなどの影響があります。

図形の重なりを検出する機能によりこれらの問題を回避できます。

 

【シリーズ共通 新機能3】ネットワーク上のドキュメントでも、安心して作業が可能に

ネットワーク上の共有ドライブでの作業も、安心して行えるようになりました。

変更が反映されない、ファイルが破損してしまったなど、いわゆる「ドキュメントの共有作業ならではのトラブル」を防ぐ機能の追加です。

近年、無線LAN、有線LANの消費電力を低減するため、一定期間の通信がない場合、自動でネットワークアダプタの電源を停止するなどの省電力機能が積極的に活用されています。

そのため「ドライブにアクセスする」タイミングで、省電力機能によるネットワークの切断や他の要因によるネットワークの障害が発生すると、ファイルの破損が発生する事がありました。

これはOfficeソフトの一部でファイル共有による編集時にも報告があるようです。

ECAD 2022には、このようなケースでも図面ファイルを保護する機能が追加されました。

ファイルオープン時に作業PCの一時保存領域(TEMPフォルダ)にキャッシュを作成する事で作業ファイルを保護します。これにより様々なネットワーク構成での作業を問題なく実施することができます。

 

【シリーズ共通 新機能4】AutoCADも含めた、互換性の向上

DCXとdioだけでなく、ECADとAutoCADの互換性を高めるいくつかの対応が行われています。

  • ECADシリーズで取り扱えるDWGファイルに「AutoCAD 2022」で作成されたDWGファイルが追加されました。最新のAutoCADとのデータのやり取りもスムーズに行えます。

 

 

  • 従来dioに標準で搭載されていたベクトルフォント(CADフォント)を同一の書体のベクトルフォント「ECADベクトルフォント」に更新しました。

 

DCXとdioではこれまでフォントの設定が異なるため、変換の前後で印刷した図面のイメージに差異が発生することが問題とされてきました。DCXにもこのECADベクトルフォントが新たなに搭載され、DCXとdioで同じフォントを利用することが可能となりました。これにより図面の互換性が向上します。

 

 

  • DCXのファイルを開くコマンドでdioの図面を選択できるようになりました。

 

dioの図面をDCXで利用する際のストレスを低減します。

 

 

さらにDCXでは、より使いやすい新機能を搭載いたしました。

詳細はこちらから(「設計・運用効率」「設計品質」向上 ECAD® 2022の新機能とは?【下】)。