「製品原価の約80%は設計段階で決まる」といわれています。 そのため、設計段階でいかに設計図書(図面)を作り込めるかが、品質・コスト・納期を左右する重要なポイントとなります。設計図書の精度を高めるには、設計段階で十分な検討や確認を行うことが不可欠です。
制御盤・配電盤の設計においても、3Dシステムを活用することで、従来は製造時に判明していた部品の干渉などの設計ミスを、シミュレーションで事前に検証可能になるため、設計品質の向上を図ることができます。
また、3Dデータの活用により、部品の取り付け手順や配線確認をマニュアル化することが可能となり、経験の浅い作業者でも一定品質の作業を行える環境を構築できます。
このように、制御盤・配電盤設計において設計図書の作り込み、すなわち設計の「質」を高めることで、手戻りを減らし、品質・納期・コストの課題解決につなげることができます。
制御盤・配電盤設計における2Dと3Dの活用
制御盤・配電盤の電気設計において、3Dシステムを導入している企業はまだ多くないのが現状です。その背景には、従来2Dによる設計で基本的には対応できており、高価な3Dシステムへの費用対効果を感じにくいという事情があります。また、2Dシステムと比べて3Dシステムは操作が難しそうという印象が強く、導入のハードルが高く感じられる点も理由の一つでしょう。そこで、制御盤・配電盤の設計工程においては、2D設計と3D設計を適切に使い分けることで、設計品質や対応力を高めることが可能になることから、それぞれの業務範囲について整理します。
2Dシステム業務範囲
以下は3Dである必要がなく、正式図面が2D図面となるため2Dシステムを活用。
●回路図(単線、複線)
●部品表、布線表、端子台表などの帳票
●加工図(ハーネス図、鈑金加工図など)
●正式な出図としての図面(外形図等含む)


3Dシステム活用業務
立体的な設計・検証により、2Dでは把握しにくい不具合の解消や、後工程の効率化につながるため、以下の業務に3Dシステムを活用
●3D部品作成(銅バーなどの回路図に定義されないもの)
●ケーブリング(自動、手動)
●干渉チェック、隙間チェック、重量計算(標準機能)
●マスプロパティー(重量、重心など)
●2Dレイアウト(配置図の元となるデータ)
●外部3Dデータ作成(他3D CADにデータを渡す目的)


制御盤・配電盤設計の3Dシステムに必要なもの
機械設計などで一般的に使用されている3Dシステムと、制御盤・配電盤設計に必要となる3Dシステムとでは、「部品を製作する」と「購入した部品を使う」という前提に立って設計をすることから、求められる要素が異なります。
3Dシステムによる制御盤・配電盤設計において以下の点は不要といえます。
●局面が多用された部品をモデリングすること
●機構を伴う部品をモデリングすること
制御盤・配電盤設計において必要となるものは、以下になるでしょう。
●部品を適切に並べられる(配置できる)こと
制御盤・配電盤設計の3Dシステム選定ポイント
制御盤・配電盤の電気設計環境に3Dシステムを導入する場合、どのようなツールを選ぶべきかは重要なポイントです。3Dシステムで実現したいことは多くあるかと思いますが、その前提として、3Dモデリングを無理なく行える操作性であることが欠かせません。3Dモデルを作成できなければ、干渉確認やレイアウト検証といった3D設計の効果を十分に活かすことはできないからです。外形図を作図する際と同じ感覚で3Dモデリングができれば、制御盤・配電盤全体の3Dモデルを比較的容易に作成できます。
「X・Y平面」の定義
制御盤・配電盤に取り付けられる部品の多くは、基本的に「平面」へ取り付けられており、2D設計では「X・Y平面」上に部品を配置して外形図を作成しています。3Dモデリングにおいても、この「X・Y平面」を基準に部品を配置できれば、従来の2D設計と近い操作感で3D設計を進めることが可能となります。

ECAD 3Dは、2D設計と同様の操作性を基本としているため、2D設計と近い操作感で容易に3Dモデリングを行うことができます。3D設計では「X・Y平面」の定義が煩雑だと、部品配置が簡単であっても3Dシステム全体を難しく感じてしまいます。その点、ECAD 3Dでは、3Dモデル上で部品を取り付けたい「面」を選択するだけで、「X・Y平面」が定義されるため、直感的に3Dモデリングを進めることが可能です。
部品が正しく配置できるか
制御盤・配電盤設計の回路図には部品情報などが定義されているため、3Dモデリング時に、図面に定義された部品情報を活用することで、誤った部品を配置してしまうリスクを防ぐことが可能です。ECAD 3Dでは、電気設計専用CAD 「ECAD DCX」と連携が可能で、図面から抽出した部品情報をECAD 3Dで取り込んでモデリングに利用できるため、効率的かつ正確な部品配置を実現できます。
設計品質を向上させるシミュレーション
制御盤・配電盤の製作現場では、外形図をもとに部品を組み付け、扉を閉めた段階で、扉側の部品と中板側の部品が干渉してしまい、配置をやり直すといった不具合が発生することがあります。この不具合の原因の多くは、設計段階で部品同士の干渉を十分に考慮しきれなかったことによります。側面図の作図過程で部品の干渉を確認する場合も、部品が重なって表示されるため、実際には干渉箇所を正確に把握するのは容易ではありません。制御盤・配電盤設計に3Dシステムを導入する最大の効果は、こうした設計段階での見落としを防げる点にあります。3D上で部品配置を行うことで、干渉を考慮しながらレイアウトを検討できるだけでなく、干渉箇所を自動的に検出する機能により、制御盤・配電盤のレイアウト最適化を効率的に進めることが可能となります。その結果、設計品質の向上とともに、手戻りの削減や工数削減にもつなげることができます。


制御盤・配電盤製造の現場における3D Viewerの活用
制御盤・配電盤の3Dモデルは、設計段階のレビューや製造現場など、さまざまな場面で活用できます。3D Viewerの使用により、3Dモデルを確認するだけでなく、モデルを断面で見たり分解して表示したりすることで、構造や部品配置を直感的に理解することができます。また、距離を測定できる機能を備えた3D Viewerであれば、盤内の絶縁距離が確保されているか、メンテナンス時に工具を差し込めるスペースがあるかといった確認にも活用できます。製造現場においては、どの位置にどの部品が取り付けられているかを一目で把握できるため、作業内容の理解が進み、組み付けミスの防止や作業効率の向上といった製造支援につながります。


このように、従来の2Dシステムによる電気設計に合わせ、3Dシステムを活用することで、設計段階での検討や確認、手戻りの修正にかかっていた時間を大幅に削減できます。その結果、本来注力すべき設計業務に集中できる環境を構築でき、制御盤・配電盤設計における品質向上やコスト削減につなげることができます。
制御盤・配電盤設計用3Dレイアウトツール「ECAD 3D」
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