製造現場の人手不足は、多くの企業にとって避けられない経営課題です。特に制御盤・配電盤・分電盤の製作を担う現場では、作業の属人化が進みやすく、採用しても教育に時間がかかる、ハーネス加工の人員確保が難しい、担当者が退職すると後任が見つからない、といった様々な悩みがあります。結果として、競争が激しくなる中でも生産性を上げにくく、品質や納期の安定にも影響が出てしまいます。
こうした状況で有効なのが、熟練者だけに依存せず、経験の浅い作業者でも一定品質で作業ができる“仕組み”を整えることです。ポイントは、作業を感覚や勘に頼らせないようにし、設計から製造までを一貫してデータでつなぐこと。つまり、現場に合った形でのデジタル化(DX)をすることです。
本記事では、制御盤・配電盤・分電盤メーカーの製造現場で段階的に導入でき、スキルレス化を進められる「盤製造スキルレス・ソリューション」の考え方と、具体的なメリットを制御盤製造の工程を例に解説します。
制御盤製造の一般的な手順とデジタル化
制御盤の製造工程を見たときに、
➀電気部品を収めるキャビネットを製缶あるいは標準キャビネットを調達して穴あけを行う。
②外形図を見ながら部品を取り付けるDINレールや電線を収めるダクトを切断しキャビネットに取りつける。
③電気部品をDINレールに取りつける。
④マークチューブは、図面情報を見ながらチューブプリンタで線番を手打ちして印刷する。同じく端子台のラベルなども印刷する。
⑤図面を見ながら電線のルートを考え、電線を這わせて適当な長さで切り、マークチューブを挿入して端子を取り付ける。
⑦配線してねじ締めする。
このような手順の場合、全てにおいて図面を読むスキルが必要になるほか、⑤の電線にまつわる作業に熟練技術者の持つ高度な製造スキルが要求されます。
また、手作業が相当含まれているためミスの原因にもなり得ます。
製造現場のDXには様々な手法があります。ロボットを導入するという方法もありますが、相当な投資が必要になってきます。制御盤製造の現場に適したデジタル化が求められます。
制御盤の製造工程を一貫支援する「盤製造スキルレス・ソリューション」とは
盤製造スキルレス・ソリューションとは、段階的に製造現場の自動化及びデジタル化を進められる今の制御盤の製造現場にマッチしたソリューションです。
ソリューションの核となるのは、盤製造支援システム「WIRE CAM DX」です。これと連携する各種加工機、製造を支援するモニター機能、データ管理システムで構成されます。適応領域は以下のように生産準備~製造の工程です。

配線設計:ECADのほかDXF・DWG・PDF・TIFFの図面も取り込み可能
元になる図面は、電気専用CAD「ECAD」の外形図はもとより、他社CADのデータもDXF・DWGで取り込み利用可能です。このほかに、支給される図面データ形式として多いPDFデータや画像データのTIFFも取り込み可能です。
取り込んだ図面に部品情報を設定します。クラウド部品データベース「ECAD Library」を使うと端子情報も合わせて効率よく部品を定義できます。接続情報もCSVで取り込んで利用でき、ソフトウェア上で編集も可能です。これらの情報をもとに自動/手動で配線設計を行います。熟練技術者の製造ノウハウをデータ化・可視化することで、技術継承が容易になります。

電線加工:印字・加工データを出力し加工機とデータ連携することで、手入力作業とミスを削減
配線設計で作成されたデータから、マークチューブの印字データや電線加工のデータなど電線加工機の加工情報が出力できます。このデータを加工機に読み込ませ電線部材を加工します。
人の手を介さずに加工ができるため、ミスを無くし効率化が図れます。また、予め必要な長さで電線を準備できるので、現場合わせで切り詰めて廃棄していた電線の無駄の削減が可能です。

部品組付・配線:作業をモニターで支援し、経験の浅い作業者でも即戦力に
部品の組付と配線には、支援モニター機能を使用します。モニターには取り付ける部品と位置、配線する電線とルートが表示されます。このモニターを見ながら作業をすることで、これまで熟練者を必要としてきた工程で、経験の浅い作業者の方でも一定品質の作業が可能になります。


ねじ締め:トルク管理で制御盤の品質を安定化
ねじ締め作業は、締め忘れや締結トルク不足などがあると、機械の振動による配線外れや接点不良を引き起こす要因となりうるため、とても重要な作業です。
WIRE CAM DXと連動して動作するトルク管理システムは、誰でもねじ締め作業ができるように、システムが締付トルクを管理し、常に適正なねじ締め作業を行うことができ、締め付けた際のトルク値を記録することができる全く新しいシステムです。


作業エビデンス:一元管理で検査やメンテナンスにも利用可能
作業のエビデンスを残すことは、品質の安定や検査・ミス削減の観点から重要です。記録すべき内容は主に、「いつ(日時)」「誰が(作業者)」「何を(作業内容)」「どうしたか(結果・正常/異常)」の4点です。
さらに大切なのは、必要なときにその履歴をすぐに検索・参照できること。問い合わせ対応や不具合の原因追跡がスムーズになり、手戻りや確認工数を減らせます。
盤製造スキルレス・ソリューションでは、こうした履歴を一元管理できるデータ管理環境の構築まで対応可能です。
工場の環境に合わせて段階導入できる拡張性
大規模な仕組みを一括導入しないと効果が出にくいシステムは、費用や現場負荷の面で着手しづらいのが実情です。だからこそ、工場の既存設備や運用、そして解決したい課題に合わせて、必要な範囲から段階的に広げられる拡張性が重要になります。
盤製造スキルレス・ソリューションは、次のように小さく始めて、効果を見ながら拡張できます。
・まずは、配線設計をデータ化
・次に、作業モニターで部品組付・配線を支援
・さらに、加工機の導入で電線加工などの部材加工を最適化
・必要に応じて、加工機の増設や対象工程の追加で、範囲を拡大
無理なく導入を進めながら、現場に合った形で製造の標準化と人手不足の課題を解決できます。
従来通りの製造を維持・継続していくには、時代にあった改善がカギとなります。
制御盤・配電盤・分電盤メーカー導入事例:
制御盤製作の工数削減・スキルレス化を実現
実際にWIRE CAM DXを導入され、人手不足の解消や業務効率化、工数削減をされたお客様の事例をご紹介しています。
製品についてご質問等ございましたら、お気軽にご相談ください。


