株式会社ナカサク様Case study

株式会社ナカサク様
  • 産業機械メーカー

ECAD dioからECAD DCXへの切替で設計の効率化・標準化を実現

株式会社ナカサクは、1926年創業で、もうすぐ創業100周年を迎える老舗の産業機械メーカー。「?×!=∞」のコンセプトのもと、お客様の課題に対し、提案力と開発力、製造力で解決し無限大の価値を生み出すことを目指し、機電一体で長年オーダーメイドの生産用機械を設計・開発してきました。顧客には大手ガラスメーカーや鉄鋼メーカーのほか、近年では二次電池用フィルム、EV関連業界にも広がり、多種多様なものづくり企業の土台を支えている企業です。

働き方改革に向け電気設計の標準化・効率化プロジェクトをスタート

2020年にコロナ禍で先行き不透明な中、経営陣から各部門に対し「自部門の重要な中期取り組みを設定し、ゴールと行動計画を立てなさい」という指示が出され、当社の電気部門である電機セクターは「電気設計の標準化・効率化」を目標として取り組みを開始しました。

電機セクターには14人が在籍しています。2021年当時はメンバーによって仕事や技術の習熟度の差が大きく、そのため一部の人に仕事が集中し、長時間労働が問題になっていました。ちょうど世間では時間外労働の上限規制が話題になっていて、当社でも解消に向けて何か手を打たなければいけない時期でもありましたし、スタッフ全員のスキルアップも図りたいと思っていたため、部署全員で電気設計業務のあり方を見直していこうということになりました。

電機セクター 電気制御部 部長
中谷 至彦 様

ECAD dioの使用経験が活かせるECAD DCXを採用

電気設計の標準化・効率化に向けて、まず着手したのが電気CADの変更です。
これまでAutoCADやECAD dioを使ってきましたが、部品を配置して線をつないで完成という形で、単に図面を描写するツールとしてしか電気CADを使えていませんでした。

それに対し最近の電気CADは設計支援の機能が充実し、使いやすくなっていて、うまく活用することで設計業務が大きく変わると思い、いくつかの電気CADを検討しましたが、価格が高くて費用対効果に合わなかったり、ある特定企業向けの案件には良くても、当社のように多種多様なものづくり企業からのオーダーメイドに対応しなければならないケースでは適合しなかったり、そもそも使い勝手が良くないなど、いずれも決め手に欠けました。

そのなかでECAD DCXは、設計支援機能も豊富なうえに、これまで使っていたECAD dioと操作性が近く立ち上げがスムーズにできるだろうということもあり、新しい電気CADとして採用を決めました。

電機セクター 電気制御部 課長
櫟 照彦 様

部品の抜け漏れ、図面間の整合性を自動チェック 残業時間を大幅削減

これまでの設計業務では、図面に部品の型式が入っていなかったり、回路図に配置している部品が外形図になかったり、そのために部品の誤発注が起きるなど、様々なミスが発生していました。そのため検図工程ではすべての図面で抜け漏れや整合性を細かくチェックしなければならず、重労働で長時間勤務につながっていました。

それに対しECAD DCXでは、回路図と外形図の整合性を自動でチェックができるので、設計段階で図面の抜け漏れなどのミスは大きく減り、検図工程の負担も劇的に下がり、図面や部品表の作成も効率的に行えるようになりました。

おかげで残業は明らかに減り、制御盤メーカーから図面の不具合に対する問い合わせの電話もなくなり、社員にも制御盤メーカーにもお客様にもお互いにWin-Winな状態になっています。

また、これまでは当社で板金図面を作成し、仕入先に日東工業のキャビスタを使用してもらって標準キャビネットを調達していましたが、手作業で穴データを入力しなおしていたため、穴位置の間違いなどのミスが発生していました。キャビスタ連携機能を使用することでミスは完全になくなり、キャビネットの手配も格段に楽になりました。

ECAD Libraryを活用して部品マスタを整備

部品のシンボルや型式など図面に記載する情報については、標準化を目指して社内で統一した部品マスタを作ることとしました。標準化した部品マスタから各人がデータを引き出して使えるようにすることで、将来的に業務の効率化・標準化につなげることが目的でした。

部品マスタは、これまでに使ったことがある部品と、ECAD Libraryに登録されている部品データをもとに作成し、今では数千点の部品を登録しています。同時に、部品マスタの運用ルールも策定し、設計者は図面や部品表を作る際には必ず部品マスタからデータを引き出して作り、データの編集や追加が必要な場合は管理者に依頼して行うようにしました。

部品マスタと運用ルールを標準化したことで、設計者は図面を作ることに集中でき、部品マスタのメンテナンスもスムーズに運用できるようになりました。

電機セクター 電気制御部 係長
十二里 洋祐 様

マクロ機能のフル活用でさらなる設計の効率化・自動化に挑戦

ECAD dioからECAD DCXに変更した際はコロナ禍で対面のコミュニケーションを取りづらい状況でもあり、立ち上げに苦労しましたが、現状は合格点で満足しています。今後は部品マスタを更に充実させつつ、マクロ機能を活用して設計の効率化・自動化にもチャレンジしていきたいと考えています。

例えば、熱対策のため制御盤の温度上昇を調べる際、今まではそれぞれの部品の発熱量を調べ、それを合算して導き出していましたが、部品マスタに各部品の発熱量のデータを登録しておけばマクロで簡単に制御盤の発熱量が算出できるようになります。

また、3Dにも挑戦したいと思っています。当社で設計した制御盤をそのまま製作した際に部品の干渉が起きてしまい、制御盤メーカーが組み立て・配線の際に手を加えてくれたおかげで完成したというケースが時折あります。

自分の頭の中で描いている図面と実際の製作物である制御盤とのギャップをなくすためには、設計段階でもっと事前検証をしっかりして詰めていく必要があり、そのためにも3D活用は必須です。特にお客様からの要望に応じて制御盤を小型化したり、新たな部品を配置したりするとこういったミスの発生頻度が高くなります。そこを3Dで解決していきたいと考えています。