株式会社バンテック様Case study

株式会社バンテック様
  • JSIA会員
  • 制御盤/受配電盤メーカー

Wiringの活用で生産能力向上を目指す

株式会社バンテックは、昭和23年に鈴木電機として創業し、栃木県北部を中心に地元発展の一翼を担ってきました。高度経済成長に伴う配電盤需要の高まりを受け、昭和53年より配電盤事業を開始し、平成4年に配電盤専門メーカーとして株式会社バンテックは鈴木電機株式会社より独立しました。30年以上に渡り、配電盤・制御盤・キュービクルなど多様な商品の提供を、設計・製造・販売を一貫生産工場にて行い、現在では多くのプラント・機器メーカー様よりご愛顧をいただいています。今後は新たなエネルギー供給の在り方も見据え、既存コア技術である配電制御技術を活かした新しい価値の創造にも取り組んでいきます。(2017年6月取材)

関連製品

キャスティング
(株式会社小寺電子製作所)
ホットマーカー製品
(株式会社シーティーケイ)

設計能力と製造能力の向上が課題に

当社の設計部門では設計者とオペレーターが異なる複数のCADを使用して回路設計や構造設計、外形図などの作図を行ってきました。その中で一部のCADがサポートを終了する事もあり、CAD見直しの検討を開始しました。見直しの目的は「より効率的な設計ができる」ことと「多様な用途に利用できる」ことで、全社的に1つの製品で統一する事も視野にありました。その一方で、従来の製造規模を上回る案件の受注が決まり、社をあげて生産体制を強化する必要性が発生していました。そこで、設計・製造双方の課題を解決すためのプロジェクトを立ち上げ、製品の検討を開始しました。設計部門と製造部門は綿密に連携して業務を遂行する必要があります。プロジェクトチームでは双方の能力向上に向けた効果的な解決策を模索し始めました。

ツールによる手作業の自動化・機械化を検討

自動機械を提供している会社として、社内業務においても自動化を推進していきたいという社長の考えもあり、課題の解決につながる自動化機能を有したソリューションを検討することになりました。手配・製造データの作成に際して人の手を介さず自動的に作成、集計できることや、チェックに関しても単純なミスについては機械的に自動検出してミスを減らせることを条件に、電気設計CADの再検討を実施することにしました。

設計・製造双方の課題をクリアするCADソリューションを検討

設計・製造双方の能力向上を実現する方法の一つとして、専用CADを中心としたソリューションを検討することとしました。検討の結果、外形図や回路図などの自動設計機能を構築でき、図面から電線の測長など製造支援データを作成できると共に配線作業のデジタル化を実現できるソリューションが最適ではないかと判断しました。設計部門では以前からCAD見直しのために検討を進めていた事もあり、自動設計機能の構築に関してイメージを描く事ができましたが、製造部門ではこれまでベテランエンジニアの熟練技術による電線加工や配線作業に頼ってきたため、CADを中心とした新たな製造ソリューションのイメージが描けず、ハードルの高い難しいものとなるのでは無いかとの不安がありました。実際に以前製造部門で現場のIT化を検討した事がありましたが、うまく実現できなかった経験があります。ただし、ベテランエンジニアは一朝一夕では育たない事や、人材不足が顕著な業界で技術者の増員も見込めない状況もあるため、今回の取り組みでは単に人員を増員する事で製造能力を向上させるのでは無く、IT化による抜本的な改革が必要だと決意し、製造部門でもCADを中心とした製造ソリューションの導入にチャレンジする事としました。

Wiring機能を備えた実績ある電気CAD「ECAD」に決定

設計部門でCADの見直しを開始した時点で、ECADソリューションズにCADシステムの相談をしていました。その中で製造ソリューションについても相談したところ、ECADのWiring機能を提案してもらいました。打合せの中で、回路図からの接続情報作成やマークチューブ用データの自動作成、配線経路のシミュレーション、小寺電子製作所のCASTING(自動配線切断機)を使用した電線加工など、細かな部分まで話を進める事ができ、当社の製造現場におけるECADソリューション活用の骨子が見えてきました。このWiring機能に加え、設計部門での課題であった自動設計の構築を実現できる事や、電気設計に特化した各種機能の活用による図面作成の効率化、オペレーターの習熟度、資産としての図面データの活用、導入・運用に関わるトータルコストなど総合的に考慮し、ECADを活用したソリューションで設計・製造能力の向上を実現する事にしました。もちろん検討段階ではECAD以外のCADソリューションも候補にあがっていました。AutoCADベースの電気CADも使用しているので、AutoCADベースで同様のソリューションを構築する事ができる製品も選択肢にありましたが、ECADはAutoCADデータのインポートも可能なため、最終的な総合力でECADを選定する事に決定しました。

製造ソリューションの導入は順調な滑り出し

導入は段階的に実施する計画で進めており、まずは大きな案件に対応するための製造力強化のため、Wiring機能を軸にした製造ソリューションの導入・運用をスタートしています。まだ初期段階ではありますが、一定の効果を実感できるようになってきました。現在は電線加工や配線をベテランの技術者に頼らず作業していますが、従来に比べて2~3割は作業時間が短縮できています。製造ソリューションでは現場作業の前段階で製造用のデータや指示書を作成するため、全体の作業時間で考えるとそこまで短くはなっていませんが、作業への慣れや、より効率的なフローへの改善などにより、生産性は上がっていくと考えています。一方で課題も見えてきました。それはより正確な図面が設計段階で要求される事や、製造データへの展開のための作業など、設計部門の業務量が増加してきた事です。この課題に対しては、今後、自動設計への取り組みや、ECADの機能をより効果的に活用する事などにより対応していきたいと考えています。このように新たな課題は見えてきましたが、今後の事を見据えると、製造業務をベテランエンジニアの技術のみに依存しなくなったと言う点は高く評価できると考えています。製造ソリューションの導入は順調に進んでいると感じています。

ECADソリューションを定着させ全体の効率化に

次の段階では、ECADでの自動設計を実現するなどして設計能力を向上させようと考えています。このような取り組みにより、図面作成ではスピードと正確性が向上し、部品表の活用や製造データへの展開作業も大幅に効率化できると期待しています。製造ソリューションを導入した事により増加した作業量を差し引いても全体では業務量減少と正確性向上が達成できると考えています。また、先の未来としては、設計部門が使用しているCADをすべてECADに統一し、さらなる効率化につなげていきたいと考えています。現在の実際の業務を考えるとすべてのCADを統一するのは困難な課題ですが、データの再利用やメンテナンスなど、統一する事で期待できる効果を考えると異なるCADを混在して使用し続けるメリットは小さいと思いますので、何れECADに統一していく事になると思います。

お客様ありきのスタンスで存在感を発揮していく

当社に依頼してくださるからにはしっかりとした製品を必ず届ける。お客様が満足できるものを提供し続ける。このようなお客様第一の考えで着実に製品を作り上げていきたいと考えています。オリンピックに関連する依頼などよい話はありますが、それに浮き足だってはいられません。現状はまだこなせる量の仕事ですが、想像を超える案件が来る事も考えられますので、設計も製造も日進月歩で力をつけ、どのような依頼でも対応できるようにしていくつもりです。そうする事で業績も伸びていき、何れは県下でも一目置かれる、存在感のある企業になり、「バンテックに頼めば大丈夫」「バンテックに勤めたい」と言われるような姿に成長していきたいです。